WACC算定:インフレ率の取得方法

FAS実務

海外の加重平均資本コスト(WACC)を算出する際、成熟したマーケットであるUSドルベースで株主資本コストを算出し、インフレ調整をすることで現地通貨建ての株主資本コストを求める方法があります。その際に用いるインフレ率の根拠として実務上よく利用されるものは「International Monetary Fund (IMF):国際通貨基金」のホームページです。以下の記事におけるインフレ率データも、IMFのものを使用しています。

出所がIMFのホームページということは分かったけど、どうすればその結果にたどり着けるの?という問い合わせを新人スタッフやクライアント、監査人から尋ねられることがよくあります。実際どうすれば辿り着けるのか分かりづらいので、当記事ではインフレ率の取得手順を画像を使って丁寧に解説していきます。

IMFインフレ率データの取得手順

ステップ1:IMFページへのアクセス

以下のボタンからIMFページへ遷移してください(検索エンジンにIMFと入力してもらっても構いません)。

ステップ2:WEO Database一覧ページへのアクセス

World Economic Outlook Databaseがインフレ率を取得できるデータベースなのですが、そこまで辿り着く方法が分かりづらいので、以下の手順に従って操作してください。

ステップ2-1:「DATA」を押下

ステップ1の操作で以下のような画面が表示されたと思いますので、「DATA」をクリックしてください。

ステップ2-2:「World Economic Outlook」を押下

遷移した画面上で、「World Economic Outlook」という文字を探して、そちらを押下してください。

ステップ2-3:「See also, the World Economic Databases」を押下

下の記事の方を見たくなるのですが、そこにはいかず、小さく書かれた「See also, the World Economic Databases」をクリックします。

以下のように、「WORLD ECONOMIC OUTLOOK DATABASES」と書かれた画面が表示されたらOKです。

ステップ3:インフレ率データの取得

ステップ3-1:必要な時点データの選択/押下

ステップ2の最後の画面で少しスクロールすると以下のような表示となります。そこからWACC算定に必要な時点データを選択/押下してください。WACCを算定する際、基本的に算定基準日時点における最新のデータを取得することになると思いますので、例えば、2021年1月31日基準日における最新データは2020年10月のデータになります。解説に際しては2020年10月データを使用します。

ステップ3-2:「By Countries」を押下

画面遷移した先で少しスクロールすると、以下のような画面が出現します。そこで「By Countries」を押下してください。

ステップ3-3:「ALL COUNTRIES」を押下

画面遷移すると以下のような画面が現れます。一見押せなさそうに見えますが、「ALL COUNTRIES」を押下ください。

ステップ3-4:「CLEAR ALL」を押下後、対象国を選択

画面遷移した先では、デフォルトですべての国が選択された状態になっていますので、まず「CLEAR ALL」を押して何も選択されていない状態にしてください。

解説においては、米国と日本を選択して進めたいと思います。以下の画像は「Japan」と「United States」が選択された状態です。

選択したら「CONTINUE」ボタンを押してください。

ステップ3-5:必要なインフレ率データを選択

遷移した画面で「MONETARY」という項目を探し、平均もしくは期末のインフレ率を選択します。特にどちらか方針が決まっていない場合は、両方にチェックしてしまいましょう!それぞれINDEXとPERCENT CHANGEがありますがこちらも両方にチェックを入れます。画像は上記4つすべてを選択した状態を示しています。

選択後はステップ3-4と同様「CONTINUE」を押下してください。

ステップ3-6:「PREPARE REPORT」を押下

必要であれば「DATE RANGE」を変更し、「PREPARE REPORT」を押下します。実務においては、「DATE RANGE」はデフォルトにしておくことが多いです。

次のような画面が表示されればOKです!証跡が必要となる場合には「DOWNLOAD REPORT」からCSV形式でダウンロードできます。なのでエクセルにシートを移して直接参照することが可能です。

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まとめ

こういった外部データベースは、何回も使っていると何も見ずにサクサクデータ取得ができるのですが、最初のうちはマニュアルがないと辛いと思います。ファームでマニュアルを作成している場合もありますが、何年も前のものだったりでインターフェイスが変わってしまっていて使えないこともしばしばあります。実務で無駄な工数を割かないためにも、こちらの記事を参考にしていただけると幸いです。

以上です!

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