FAS転職志望者必見:独立系FASのM&Aリーグテーブル2020

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BIG4 M&Aアドバイザリー(FAS)ファームを志望するM&A未経験者の中には、BIG4 FASへのステップアップという位置づけで、一旦独立系FASへジョインされる方もいらっしゃると思います。逆に、BIG4 FASから独立性等監査法人系特有の制限に縛られない先として独立系FASへのジョインを検討されている方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、リフィニティブ(旧トムソン・ロイター)により公表されている「M&Aリーグテーブル」データを使用して、BIG4 FASでよく名前を聞く独立系FAS 4社の動向を探ってみたいと思います!

M&Aリーグテーブルから見る独立系FAS

押さえておきたい独立系FAS 4社

まず今回分析対象として選定した独立系FAS 4社をご紹介します!

GCA

GCA株式会社は、東証一部に上場するM&Aアドバイザリー会社です。KPMG出身の公認会計士と、メガバンク出身のユニゾン・キャピタル(日本のPEファンド)創立メンバーが設立したファームで、大手の上場企業も含めてFAS業務を提供しています。なので、BIG4 FASと取り扱うディールの規模がかぶることもあり、BIG4 FASの中にいると比較的名前をよく聞くファームの一つです。

プルータス

株式会社プルータス・コンサルティング(非上場)は、ゴールドマン・サックス出身者によって2003年に創設されたファームで、バリュエーション(企業価値算定)に強みがあります。適時開示情報でプレスリリースをチェックしていると、大きいディールのフェアネス・オピニオン業務を手掛けていたりと、その存在感を見せつけられます。

フロンティア・マネジメント

フロンティア・マネジメント株式会社は、東証一部に上場する経営コンサルティングファームであり、産業再生機構のメンバーを中心として設立されたファームです。M&Aアドバイザリー、事業再生、経営支援等幅広く手掛けるファームであり、BIG4 FASの中にも出身者がいて、カバレッジを中心に活躍しています。BIG4 FASと直接競合するケースを私は聞いたことがありませんので、小規模ディールを手掛けている印象があります。

山田コンサルティング

山田コンサルティンググループ株式会社は、東証一部に上場する経営コンサルティングファームで、税務を強みとして組織拡大してきたファームです。近年、事業承継やM&Aアドバイザリーサービスで業績を伸ばしてきており、BIG4 FASでは提示できないような安い価格で刺してきて案件を獲得するという、BIG4には少し脅威のある存在になりつつあります。BIG4 FASには山田コンサルティング出身者もおり、フィナンシャル・アドバイザリー(FA)業務等で活躍しています。

データ分析の前提

データ分析の前提はBIG4 FASを分析した時と同じで、以下の通りです。

・GCA:GCA株式会社
・プルータス:株式会社プルータス・コンサルティング
・フロンティア:フロンティア・マネジメント株式会社
・山田:山田コンサルティンググループ株式会社
・ランクバリュー:株式価値にネットデットを加算した価値
・分析対象:公表案件(=クローズしていない案件を含む)
・不動産案件:分析対象外

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ランクバリューから見る独立系FAS

以下は、2013~2020年の独立系FASのランクバリューを私がまとめたものです。山田は2013~2016年までデータが取得できなかったため、2017年からの推移となっています。

こちらのグラフをパッと見て目が行くのは、やはりプルータスの2020年の伸びですよね。プルータスは、同じく2020年のランクバリューを著しく伸ばしたデロイトが関与した案件、NTTのTOB案件に第三者算定機関として関与しています。それによって5兆円を超えるランクバリューを叩き出しているものと思われます。この他、2020年秋頃にDCM vs ニトリで話題になった島忠TOB案件においても第三者算定機関としてフェアネス・オピニオンを提出する等、比較的大きな案件関与においてそのプレゼンスを高めています。

GCAは、2020年については4,000億円程度のランクバリューに留まりましたが、2020年5月の昭和産業によるボーソー油脂へのTOB案件にてフィナンシャル・アドバイザー(FA)を務める等上場会社もカバーするM&Aアドバイザリーファームとしての地位を確立しています。

フロンティアは2020年において、ランクバリューを伸ばしてきているものの、山田と同様今後どのような形でランクバリューを引き上げていくのか注目したいところです。

案件数データから見る独立系FAS

次に案件数です。こちらもリフィニティブの案件数データ(2013~2020年)をもとに私が独自にグラフ化したものです。

案件数でみるとプルータスが40案件前後で推移しており、そこにGCAが続く形となっています。フロンティアと山田はGCAに案件数で勝る水準となっている年もあるものの、やはりこれからという印象を受けます。一方で、当該2社は、中堅中小のクライアントを中心としており、コロナ影響や経営者の高齢化問題等により事業再生案件や事業承継案件の増加が見込まれる2021年以降に一気に案件数を伸ばして来る可能性があるため、今後の動きに注目したいところです!

プルータスは、FAというよりは主に第三者算定機関としてのバリューエーター寄りの関与によりランクバリュー・案件数共に獲得しているファームとなるので、FAをやっていきたいという方は、GCA、フロンティア、山田の中から選択していくのが良いと考えます。

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1案件あたりのランクバリューから見る独立系FAS

最後に1案件当たりのランクバリューを見てみましょう!こちらは、各年のランクバリューを対応する年度の案件数で除したデータを使用して分析したものになります。

統計的異常値とも取れる2020年のプルータスデータを無視すると、GCAの1案件当たりのランクバリューがおおよそ150億円程度で推移しており、他3社よりも大きい案件を手掛ける傾向にあることが分かります。

プルータスは、2020年を除くと30~150億円規模のディールを手掛け、平均で見ると80億円程度のランクバリューになります。

フロンティアは、2020年に1案件当たりのランクバリューを150億円まで伸ばしていますが、それ以外の年度を見ると20~30億円程度の規模の案件を扱う傾向にあるようです。山田も2017年を除くとフロンティアと同様の規模感で、2社は業界において同じようなポジションにいるという捉え方もできると思います。

まとめ

いかがでしたか?M&Aリーグテーブルは、つい金融機関やBIG4が目についてそちらの動向を追ってしまいがちですが、独立系FASがどういった動きをしているのかということを見てみると、それはそれで上記のような示唆が得られて楽しいと思います。私は上で記載したような形で考察をしましたが、皆さんも是非ご自身で分析をし、独立系FAS動向について考えてみてください!

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BIG4 FASのM&Aリーグテーブルに関する記事は以下にまとめていますので、関心のある方は是非そちらもご覧ください。

みやび
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以上です!

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