USCPAキャリア:M&Aファームにおける位置づけ

転職/キャリア

私は米国公認会計士(USCPA)の試験からは撤退していますが、一応科目合格までは進めたので、取得がどれほど大変であるかはある程度理解しているつもりです。

1年以内に取得する優秀な方もいますが、全科目合格まで1.5~2年は最低見ておくのが無難かなと個人的には思います。

さて、その長い受験期間の中で、USCPAに時間もお金も投資しているけど果たしてこの資格は役に立つのか?と思う時が来るかもしれません。

長期間モチベーションを保ち続けるのは非常に大変ですし、私から言わせればそれだけで尊敬に値します。

話が逸れましたが当記事では、実際USCPAってどうなの?というところを、M&Aアドバイザリーファーム(FAS/TAS)におけるUSCPAの位置づけというトピックで書いてみたいと思います。

USCPAという資格の優位性

私が実際に仕事をご一緒する人の中にも、何名かUSCPAホルダー(又は全科目合格者)がいらっしゃいます。

では彼らがUSCPAという資格を武器にして戦っているか?というと答えは「NO」です。

日本の公認会計士(JCPA)が一定数在籍する組織において、USCPAであることの優位性は特にありません。ただ、名刺に書けるのでその分箔はつきますし、クライアントからの信頼も得やすい部分はあると思います。

ではJCPAとの比較において、プロモーション等で不利なのかというと、決してそんなことはありません

結局評価は、実務においてどのくらい貢献できているか?という部分が評価対象となるため、保有している資格は全く関係ありません。

但し、JCPAとの比較で、財務会計面での知識のギャップは相応にありますので、USCPAとしてはそこを努力で埋める、もしくは彼らにない強みを見つけて伸ばしていく必要があります。

USCPAのメリット

ここまで読んで、USCPAの資格としてのうまみを感じなかったかもしれません。ただ個人的には、USCPA取得を目指して学習をすることには大きな意義があると考えています。

私自身M&A実務のふとした瞬間に、USCPA勉強しておいて良かったな~と思うことが、特に入社間もない頃は多くありました。

大学では一般教養も語学以外理系科目しかとらず、コンサルティングファーム時代も簿記2級程度の知識を突貫で頭に放り込んだ程度だったので、体系的に会計について学習したのはUSCPAが初めてでした。

M&A実務においては、例えばUSCPAのFAR(財務会計)で学ぶ税効果やファクタリング、リース等に係る論点がバンバン出てきます。

そんな時に、その言葉初めて聞いたので今から調べます!では、案件のスピードについていくことが困難になります。

つまり、M&Aアドバイザーとして仕事をする上での基礎を作るという点において、USCPAでの学習知識の貢献度は非常に高かったと言えます。

USCPA科目別貢献度ランキング

FAS/TASにおけるUSCPAの科目別貢献度を順位付けすると、

FAR>>>BEC>AUD>>>REG

こんな感じです(個人の見解です)。

FAR

M&Aは財務会計とは切っても切れない関係です。公会計は全く使用しませんが、それ以外の部分はM&A実務を回すベースとして非常に役に立っています。

もちろんFARの知識だけでは無双できませんし、地道に足りない部分を補う必要がありますが、M&Aファーム行くんだけど4科目のうちどれやっといけば良い?と聞かれたら間違いなく「FAR」と答えます!

BEC

ファイナンスの知識はBECをベースに学ぶことができるので、その点でFARの次に位置づけました。但し、BECのテキストでサラッと書かれている部分がM&Aの肝の1つであり、奥が深い部分であったりするので、FARほど実務において即効性のある知識は得られない印象を受けています。

AUD

監査法人系のファームということもあり、FAS/TASには減損テスト等会計目的バリュエーションの相談が監査法人より持ち込まれます。時には特定のアサーションに対して監査手続きの実施をサポートすることがあります。

そういった時に監査人の目線を把握しておく必要がありますが、その際にAUDの知識が役に立ちます。

REG

REGは私自身サラッとしか見ていないので、あまり参考にならないかもしれません。しかしREGの内容は、USが絡む案件でしか出てこない論点となるので、汎用性は低くなります。

法務や税務の論点は、理解しておく必要はあるものの、基本的にはそれぞれのデューディリジェンスでカバーされる部分なので、レポートを読んで理解できればM&Aアドバイザリー業務においては問題ありません。

まとめ

M&Aファームにおける、としましたが、基本的なUSCPAの立ち位置はどのサービスラインにおいても同じと考えます。

プロフェッショナルファームにおいては、どのくらい案件に貢献できるか?が重要なのであって、資格それ自体でどうこうという話ではありません。

但し、USCPAは財務会計周りのベースを作っておくという点で非常に有用な資格なので、自身のキャリアの方向性に合わせて上手に利用するのが良いと思います!

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みやび
みやび

FASの各サービスラインと科目の親和性については以下の記事にまとめています!

以上です!

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