BIG4 FASの業務遂行に英語は必須?必要な英語力は?

転職/キャリア

BIG4 M&Aアドバイザリーファーム(FAS)において、英語力は基本的に必須です。一部事業再生部門等必ずしも英語の使用頻度が高くない部門もあるものの、社内に英語ができない人はいないと考えておいて良いです。

英語が必要ということは何となく分かっているんだけど結局最低限どのくらい必要なの?という部分が知りたいという方が比較的いらっしゃると認識していますので、今回そのあたりを書いてみたいと思います。

BIG4 FASで必要な英語力とは?

英語技能と日本人の傾向

英語の技能には大きく次の4つがありますが、それぞれインプットとアウトプットに分けることができます。ReadingとListeningはインプット、WritingとSpeakingはアウトプットです。日本の就職活動においてはインプット重視のTOEIC(S/Wではなく従来型のTOEIC)スコアが英語ができるできないを判断するための指標として用いられています。

日本の英語教育はディスカッションベースではなく、座学で文法を学びながら英語長文を読んでいくようなスタイルを取っているため、日本で英語教育を受けている人にとってみれば、ListeningよりもReadingの方がスコアメイクしやすいと思います。また、留学等海外経験のない日本人が次のアウトプットフェーズに進む際、上記の理由からSpeakingよりWritingの方が取り組みやすいはずです。

要するに日本人は、Reading/Writingが得意な傾向にあります。私は留学してみて初めて知りましたが、世界にはListening/Speakingが得意という人が多いです。ディスカッションでは積極的に話し、またそのアウトプットスピードも非常に速いのです。一方で、彼らに英語を書かせてみると意外と文法がめちゃくちゃで何が書かれているか分からないということが往々にしてあります。但し、結局どちらのタイプが英語ができると言われやすいかといえばListening/Speakingタイプの方だと思います。つまり、グローバルで見れば日本人は「英語ができない」人種だと言えますし、他国の方の認識としても日本人は英語得意じゃないよねというのは共通認識としてあるようでした(実際留学中に何名かの留学生から言われました)。

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TOEICスコアとFASでの英語業務遂行能力

BIG4 FASでやっていくにはTOEICスコアいくら必要ですか?という質問を時々いただきます。結論として、インプット型のTOEIC(Listening/Reading)でいくらスコアメイクできてもFAS業務を遂行する英語力としては不十分です。

TOEICの語彙/文法レベル

TOEICは英検2級程度の単語力、つまり語彙数にして5,000~6,000語までの英単語で構成されています。時々難易度の高い英単語も出てきますが、特定の領域に偏っているため、TOEIC対策として学習する英単語力だけで様々なビジネスのM&Aを取り扱うFAS業務に対応するのは難しいと言えます。単語力で言えばEconomistとまではいかなくとも、BBCやCNNの記事がストレスなく読める程度には引き上げておくのが無難だと考えます。私の経験上ですが、おおよそ英検準1級レベルの英単語力に達した時点で、色んな英語の記事や情報をいちいち単語を調べなくても読めるようになりました。ちなみに英検準1級の語彙数は7,000~9,000語程度と言われています。

英文法に関しても触れておきます。TOEICでスコア800を超えるには大学受験レベルの文法力を理解していることが必要だと聞いたことがあります。確かに私の場合も「TOEIC力」を引き上げることで初受験スコア500程度から750くらいまでは一気に上がったので、文法の復習などせずともノリで引き上げられるのだと思います。逆に、TOEICで800を超えられないということは文法理解が甘い可能性が高く、英語を使って仕事する水準には到達していないと言えます。

TOEICとFASで必要な英語業務遂行能力

TOEICで900を超えていても英語が書けるようになったり話せるようにはなりませんし、語彙力が低ければどんなに耳がTOEIC耳になっていたとしても理解できません。あくまでインプット型のTOEICスコアはTOEICでそのスコアを獲得できる程度のインプットをしたということを一定程度証明するものでしかなく、それもあらゆるトピックに関するものを証明するわけではありません。

FASで扱う案件/業種は様々ですし、資料上の英単語も英検2級レベルに統一されているようなことはまずありません。海外との電話会議で相手が日本人だからと優しさ満点でゆっくり話してくれるようなこともありません。更に、英語での資料作成やメール対応、QA対応が必要となるケースもありますし、電話会議で専門的な内容につき、英語を話さないといけないケースもあります。そう聞くとTOEICで英語力を測るということがいかにナンセンスであるかは十分ご理解いただけると思います。

現在進行でTOEICの学習を続けている方がいればイメージしてみてください。現状少しずつスコアが伸びているとすれば、同じ学習を愚直に続けてさえいれば確実にTOEICスコアは900を超えます。でも現在の学習方法を続けて、英語がスラスラ書けるようになったり話せるようになることが想像できますか?想像できるという人がいればかなり洗練された英語学習ができているのだと思います。問題集を地道に進め、間違った問題の復習を続けるスタイルでは、アウトプット能力が向上することはあり得ません。したがって、FASでの業務に対応することはできません。

TOEICハイスコアの意義

じゃあTOEIC学習には全く意味がないのか?というとそういうわけではないと考えます。日本においてはTOEICでどれだけのスコアが獲得できるのかというのは「選考時」には重要視されていますし、それは日本人が面接官となるBIG4 FASにおいても同じです。TOEICスコアが900であってもそんな候補者はごろごろいるので目立つことはありませんが、評価はされます。また、アウトプットは膨大なインプットの上に成り立つものであるため、TOEICでハイスコアが獲得できているということは、訓練すればWritingもSpeakingも伸ばすことができる基盤がある程度固まっていると言えます。

個人的には英語での業務遂行ということを考えると、英検準1級やTOEFL iBT、IELTS等でスコアメイクする方が良いと考えています。しかし日本の就職活動においてはTOEICの方が評価されるので、上記したような内容を理解しつつ足りない部分を補完しながらTOEICベースで学習を進めるのは良い選択だと思います。

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英語力はどこまで伸ばすべきか?

BIG4 FASでクロスボーダー案件に関与していきたいという場合はどこまでも英語力を伸ばしていく必要があると思います。ただ、仮に英語が苦手だったとして、一方で会計やファイナンスが得意なのだという方がいるとすれば、必要以上に英語学習にコミットする必要はないと私は考えます。

私は会計もファイナンスも大した水準にはなかったため、ある程度英語力を武器に転職したところがありますし、英語案件があれば突っ込まれる傾向にあります。ただそれでも帰国子女の方には全く勝てませんし、英語で議論が必要な場面においては海外経験が豊富なメンバーに入ってもらうことが多いです。1,2年海外にいたからと言って十分な英語力には達しないのだということは自分が一番理解しているので、足りない部分は得意な人にやってもらおうというスタンスでいます。ですので、他に強みがある方は特にですが、こういったスタンスで問題ないと思います。

但し、以下2点ができる程度には英語力を伸ばしておくのが無難です。こういった本質的でない部分でつまずくと業務が全然終わりません。

  • 英語の文章をスラスラ読んで理解できる(Readingスキル)
  • 英語でのメール対応や資料作成ができる(Writingスキル)
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まとめ

BIG4 FASにおいては、高度とまでは言わなくとも一定の英語力が必要です。私は特に進学校でもない田舎の高校英語で赤点を獲るような落ちこぼれであり、英語学習には大変苦労しました。大学生のうちからFASを目指そうと思うような方はきっと基礎がある程度できているでしょうし、私よりもずっと早くBIG4 FASで必要な英語水準に達することができると考えます。

但し、英語はあくまでもコミュニケーション手段です。もし英語が堪能だというFAS志望者がいたとしても勘違いせずに会計力やファイナンス力を伸ばすことをオススメします。FASに限らずBIG4においては、英語力以外にこれといった強みがないような方は社内の通訳人員として利用されやすい傾向にあります。

逆に会計やファイナンス等他に強みがある方はそちらをアピールし、それを武器に業務遂行にあたる方がFASでのキャリアという観点で有利かと思います。当記事がBIG4 FAS志望者の英語力の悩み解決に繋がれば幸いです。

みやび
みやび

BIG4 FASで必要な英語力を身に付けるにはどうすれば。。。?という方は以下を参考にしてみてください!

以上です!

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