ワークライフバランス/激務度比較:BIG4 FAS vs BIG4コンサル

転職/キャリア

BIG4のM&Aアドバイザリーファーム(FAS)とコンサルティングファーム、どちらが激務なのか?という質問を時々受けます。個人的にはFASの方が激務度が高いと感じますが、真面目に比較して考えたことはなかったため、この機会に文字に落としながら考えてみたいと思います。

因みに、BIG4 FASとコンサルのワークライフバランス(WLB)/激務度に関する記事は個別に書いていますので、そちらもご参照ください。両記事の内容を踏まえつつ話を進めていきたいと思います。

尚、私がBIG4コンサルティングファームに在籍していたのはコロナ流行前であり、コロナ禍において得られた情報については反映するものの、在籍時の情報がベースとなる点につきご了承ください。

WLB/激務度比較:BIG4 FAS vs BIG4コンサル

転職サイト(OPENWORK)に基づく月間残業時間の比較

各ファームに関する残業時間等の定量データを私は持ち合わせていないため、OPENWORKで収集/公開されている情報を基に、FASとコンサルの月間残業時間を比較してみました。EYに関してはFASとコンサルティングが1つの法人となっているため、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの月間残業時間を入力しています。

出所:OPENWORK(2021年5月時点データ)

メンバーファーム間で比較すると、コンサルの方が残業時間が長い傾向にあるようです。同じサービスラインをファーム間で比較した場合に、FASであればDeloitteとKPMGが、コンサルであればDeloitteの残業時間が他と比較して長いというのは、個人的には違和感ありません。一方で、FAS/コンサル何れのファームにおいても残業時間が実態より低いような気がしています。少なくとも私や私の同僚は、ここに記載されている時間よりも長く働いています。OPENWORKの口コミを1件ずつ読んだわけではないため推測にはなりますが、これはバックオフィスの方が一定数含まれているということと、ゼロ時間で記載している方がいることにより生じているものと思われます。

平均と中央値で見ると、FASの方がコンサルよりも残業時間が長いという結果となっていますが、これについても認識通りです。

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職階別の激務度比較

FASとコンサルのWLB/激務度について、職階ごとに見てみたいと思います。両方で仕事をしてみた感想として、職階ごとに任せられる仕事の裁量や責任が両者で異なるという感覚を持っています。その辺りにも触れつつ書いてみたいと思います。

スタッフ

まずコンサルのスタッフについてです。働き方としては基本的にマネジャーやシニアスタッフの下でソルジャー的に手を動かすこととなります。上位職階者の指示で動くことが多いため、直上の上司がワーカホリックだったりすると1日の業務時間は長くなります。逆に働き方に寛容な上司だと、結構融通が利きます。最近は働き方改革で残業等の管理も厳しくなってきているため、無限に夜中まで働くということは減ってきているように思います。私が働いていた頃はまだ働き方改革が浸透しているとは言えない水準の案件もあったものの、22時頃までには上がることができていました。報告前や炎上時等は労働時間が伸びますが、比較的長期の案件が多く、スケジュールが急激に動くようなケースは少ないです(一部の戦略案件等を除く)。なので、進捗通りに案件が進んでいれば、今日は寝れない可能性があるから覚悟しろと突然宣告されるようなことは基本的にありません。

FASのスタッフはどうでしょうか。コンサルティングファームと比較して新卒採用者が少ないということもあると思うのですが、基本的に自走することを求める文化がコンサルより強いと感じました。要するに自己管理できれば、比較的自由に時間をコントロールすることができます。ただ、1年目とかだと完全自走は無理ですし、チームで案件を回していくものなので、案件ごとの労働時間に引っ張られることとなります。また、M&Aアドバイザリーという業務の性質上、労働時間はディールの動きに左右されます。つまり、コントロール可能な部分は自己裁量でどうにでもなるのですが、アンコントローラブルな部分もかなり多いため、クライアントやディール都合で労働時間としては長くなる傾向にあります。

更に、複数案件に関与するケースがコンサルと比べて多いので、複数のディールが暴れ出すと睡眠時間確保の難易度は上がります。恒常的に2時3時まで働くようなことはありませんが、瞬間風速的に3,4時くらいまで仕事して次の日7時にオフィスにいる、というようなことはあります(徹夜して血走った眼でPCを睨みつけている人もいます)。これは働き方改革がどうとかいう次元の問題ではなく、業務の性質上仕方ない部分だと思いますので、こういうのが無理だという方はジョインしない方が幸せです。その日が結婚記念日だろうが娘の誕生日だろうが、何なら有給消化を予定していたとしても、それらの予定をキャンセルして業務にコミットする必要があります。

一方、ディールが落ち着いている時は、結構みんな自由にしていて、業務途中に抜けて飲みに行ったり、ジムへ行ったりしていますし、早く帰ることも可能です。今はテレワークがメインなのでみんながどんな生活をしているか分かりませんが、後輩達を見ているとちょっと走ってきましたとか、買い出し行ってました、みたいな話を聞きます。

おそらくコンサルもテレワーク対応が中心になりつつあるでしょうから、常駐が基本業務スタイルだった従来よりも平日の時間の使い方の自由度は高くなっていると推察します。私はBIG4コンサルでのテレワーク生活を経験していないため、あまり色々書くことはできませんが、ある同期に連絡を取ると、テレワークだから筋トレしたらムキムキになったと良い意味で変わり果てた姿の同期をテレビ電話越しに見ることになりました。笑

所属している部門やチーム、案件にもよるので単純に比較することは非常に難しいのですが、スタッフで見るとやはりFASの方が激務になりがちというところで認識をしています。

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シニアスタッフ

コンサルのシニアスタッフは、基本的にスタッフの面倒を見るというのが主な役割となります。案件の中の小チームのリーダーという位置づけとして理解してもらえれば良いと思います。リソースがない場合や難易度が高いワークがある場合はゴリゴリ手を動かさざるを得ませんが、基本的にはプチマネジメントが業務のメインとなるので、スタッフに手を動かしてもらいます。スタッフの項目で書いた内容と重複しますが、スケジュールから遅延していなければ突然徹夜が発生するようなことにはなりません。

コンサルのシニアって手を動かさなくて良いから楽なんだと思われたかもしれませんが全くそんなことはなく、案件が円滑に進むようなアプローチや案件の中で次なる関連案件を取りに行くアプローチの検討をマネジャー以上から求められることがあります。これが結構きつくて、仮説を立てて実行しに行くのですが、芽が出なかった時の上位職者からの叱責タイムはなかなかにメンタルを削られます。テキトーな人や図太い人は問題なさそうに見えますが、真面目なタイプの人はずっと考えてて寝れなかった、、、ということもあるので人によっては激務となり、ワークライフバランスも最悪だと思います。

続いてFASのシニアスタッフを見てみましょう。正直FASのスタッフとシニアスタッフは、その役割が大きく変わるようには思いません。スタッフ→自走、シニアスタッフ→自走なのであてがわれる案件の難易度や数が増えるくらいで、その案件難易度や関与する案件数によって労働時間が伸びているかも?という程度です。とは言えシニアスタッフにプロモーションできる人材はスタッフと比べると仕事が緻密(=レビュー後の修正が少ない)でアウトプットスピードも速いので、業務時間で考えるとスタッフとトントンくらいです。

但し、チームアップの都合上どうしてもスタッフの面倒を見ないといけないケースもあり、真面目に指導するとなるとその分業務時間は伸びます。あくまで私の理解ですが、FASにおいてスタッフの指導をするのはマネジャーであってシニアスタッフではありません。しかしながら、手足として使って良い代わりに指導も丸投げされているケースが散見され、自分でやった方が速いものも指導目的でやってもらってそれをレビューするという、シニアスタッフにとってはメリットの薄い業務が発生し、労働時間の増加につながっているケースもあります。

シニアスタッフという職階で見た時に、コンサルかFAS、どちらが激務かというのは非常に判定しづらいです。ただ、スタッフから在籍している人にとっては、FASの方が主観的にワークライフバランスが取れていると感じることが多いかもしれません。理由としては、スタッフから激務な働き方をしてきたという「慣れ」とそのロールが大きく変わらないことによります。コンサルは複数名をマネジメントすることとなるため、チームで問題が発生するとシニアスタッフ側でカバーする必要がありますし、上からの圧力も案件によってはあるので、スタッフの時よりはきついなと感じる場面が増えると認識しています。

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マネジャー

マネジャーは、コンサル所属であってもFAS所属であっても基本的に残業代がつかない職階となります。FASよりも残業代がつきやすいコンサルにおいては、シニアスタッフ最終年の方が、マネジャー1年目より報酬が良かったというような話も聞きます。

さて、スタッフクラスからはガラッと報酬体系も変わるマネジャーですが、コンサルとFAS何れにおいても激務度は上がります。評価についても、案件におけるパフォーマンスというよりはプロジェクトマネジャーをこなした案件のトータル金額と営業活動で取ってきた案件金額の合計が評価対象となります。具体的には、年間の数値目標が設定されており、それを上記金額が超えるかどうかというのが評価のポイントとなります。

これに加え、案件の受嘱手続等プロジェクトマネジャーならではの事務作業も発生します。こういった部分で地味に削られている光景も時々目にします。

では、FASとコンサル、どちらのマネジャーが激務なのでしょうか。プロジェクトマネジャーに起用されたマネジャーであれば、どちらの激務度もそれなりに高いと見ています。「プロジェクトマネジャーに起用された」と書いたのは、コンサルファームの場合案件規模が大きいため、複数のマネジャーが案件にアサインされるケースがあり、その場合にはプロジェクトマネジャーロールを割り当てられないマネジャーが発生します。この場合はシニアスタッフと類似したロールとなるため、プロジェクトマネジャーと比較すると圧倒的に負荷が軽くなります。一方、FASにおいてプロジェクトマネジャーでないマネジャーが案件に関与しているケースは比較的稀です。したがって、負荷の軽いマネジャーは基本存在しません。つまり、マネジャーの激務度を仮に何らかの形で数値化して平均値又は中央値を取った場合、FASの方が高い数値が出ると推察されます。

関与案件数という切り口でも見てみます。1案件当たりの報酬金額や案件規模について、部門やチームによる違いはあれど、コンサルの方が大きくなる傾向にあると認識しています。そのため、FASにおいては複数案件を平行で回すパターンが多く、その分管理する対象が増えるため多忙になります。

結論として、コンサルのプロジェクトマネジャーも忙しくはあるものの、やはりFASのマネジャーの方が労働時間が長く多忙という風に私の目には移ります(実際かなり忙しくされています)。メールや電話へのレスポンスの速さも、FASマネジャーの方が圧倒的に速く、それが夜中であっても高い頻度で返ってきます。

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まとめ

コンサルファームに在籍していた時、自身が社会人として未熟だったということもあったと思いますが、何となくマネジャーになりたくないなという想いがありました。しかし、FASのマネジャーはそれ以上に多忙であり、皆さんとても疲弊されているように見えます。FASは報酬が良いため、激務でプライベートがワークに侵食されていても一定のモチベーションを保って働けるのだと理解していますが、報酬とプライベートの充実度のどちらを取るかというところで人によってとらえ方が異なると思います。

スタッフ、シニアスタッフについては、労働時間という観点で見るとFASの方が長いと認識していますが、コンサルで優秀なアッパー層にはかなりの仕事が集中して多忙となっている人もいますので、一概にどちらが激務かという判定は難しいというのが私の見解です。

最後に、今回BIG4のFASとコンサルでワークライフバランス/激務度を比較してみましたが、身につく専門性やその後のキャリアが全く異なるので比較する意味はあまりないと個人的には思っています。将来M&Aや財務会計方面でエッジを立てて飯を食っていきたいと考えているのに、FASの方が激務だからコンサルへ行くというのはとても「いけてない」意思決定だと思います。一方で、私のようにコンサルからFASへ転職する方がどの程度の覚悟を持ってジョインすれば良いのかという観点では当記事は参考になると思いますので、1つの見解として意思決定に役立てていただければ幸いです。

みやび
みやび

他にもキャリアに関する記事を書いています!
是非参考にしてみください。

以上です!

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