FAS/コンサル1年生必見:議事録作成の9つのコツ

FAS実務

当記事では議事録作成のコツについてご紹介します。

議事録が上手く書けない、会議中記録を取るのに必死で議論についていけない、レビュー後コメントで真っ赤になって返ってくる等々若手の方を中心に議事録に関する様々な相談を受けます。

大事なことなので最初に書いておきますが「議事録作成は難しい」ものです。ある程度訓練を積まないと人に分かりやすいと言ってもらえる議事録は書けるようになりません。コンサル入社1年目で任せられる業務なので、雑務の延長だと思っている方もいるかもしれませんがそんなことはありません。議事録作成能力の高さはメールやQA、成果物のクオリティに明確に比例します。議事録を軽視して訓練を怠っている人のメールの文章はとても読みづらいケースが多いですし、メールの宛先となっている方からのレスポンスも遅くなる、もしくは想定していたレスポンスが得られない傾向にあります。

良い機会なので実際にあったエピソードを以下にご紹介しておきます。

同じ案件に2人のスタッフがアサインされていました。ここでは仮にAさん、Bさんとしておきます。Aさんは会議やインタビューの場があると必ずメモを取って案件メンバーに共有するタイプ、Bさんは上司から求められない限りメンバーに共有するレベルのメモは作成しないタイプです。

案件が佳境に差し掛かったある金曜日の昼過ぎ、Bさんは自身の担当領域の質問及び資料依頼を本日中に対応して欲しい旨を記載してメールで投げました。クライアントサイドは繁忙期で、その週にBさんが依頼した資料等も返ってきていないような状況です。同日の夜18時頃、今度はAさんが同じ担当者に対して質問と資料依頼をメールで送信しました。クライアント先の定時後ということもあり、Aさんは来週の頭に対応してもらいたい旨を記載しました。

同日20時頃、Aさんのメールボックスが1件のメールを受信しました。それはクライアント担当者からの、Aさんの質問及び資料依頼に対する対応メールであり、Aさんが求めていた情報がすべて網羅された形で返ってきました。一方、Bさんには同時間にメールの返信はあったものの、対応依頼内容の一部しか受領することができませんでした。

これはAさんのメールに記載された内容が明確であり、クライアントが対応しやすかったことによるものです。Aさんは日頃から内部共有用のメモを作成し、読み手にとって分かりやすい書き方を習得していったからこそ、期日よりも早いタイミングで必要な情報をクライアントから得ることができたのです。

このように、人に読ませる文章を書く力というのは議事録作成以外の業務においても重要となってきます。前置きが長くなりましたが、以下で議事録作成のコツについて触れていきたいと思います!

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定義:外部共有用に議論内容詳細まで示したものを「議事録」、内部共有用に要点だけ抜粋して記載したものを「議事メモ」として筆者は認識していますが、当記事においては両者を指して「議事録」としています。

議事録作成のコツ

議事録作成の目的を理解する

そもそも議事録を作成する理由ってなんだっけ?

読者の皆さんはこの疑問について考えたことがありますか?上司に書けと言われたから書いているという方はこれを機に是非考えてみてください!

議事録作成の目的は案件の性質やフェーズによっても異なってくると思いますが、おおよそ以下のような目的で作成するケースが多いのではないでしょうか。

  • 議論の内容について認識を合わせるため
  • 言った言わないによる炎上を防ぐため
  • 会議参加者のTODO整理のため
  • 会議欠席者に内容を共有するため

私はこの中でも特に「会議欠席者に内容を共有するため」という目的が重要だと思っており、これを押さえておくだけでも議事録作成時の視点が異なり、良い議事録を書くことができると考えています。パワーポイントで作成する資料もそうですが、ゼロベースで見た時に内容が正確に伝わるかどうか常に考えておく必要があります。「誰が見ても理解できるもの」を作成する能力は、コンサルタントやアドバイザーにとって重要なスキルの一つだと認識しています。

フォーマットを用意する

議事録のフォーマットは案件によって存在する場合としない場合があります。前者の場合は必須項目について埋められるよう、何を記載すべきなのか予め確認しておきましょう。議事録フォーマットにおいて通常記載が求められる基本項目は以下6点だと認識しています。

議事録に記載が求められる基本項目
  • 会議名
  • 日時
  • 場所
  • 会議体
  • 参加者
  • 会議資料

ここに列挙した項目は、会議開始前に埋めておくことができる事項です。会議が終わってからバタバタしないためにも、できることはできるうちにやっておきます。

フォーマットがなくて困っているという方は、以下にテンプレートを用意していますので、ダウンロードして自由にご活用ください。

アジェンダを把握する

議事録の基本項目に会議資料とありますが、こちらからアレンジした会議の場合通常アジェンダを用意すると思います。議事録担当となった時は必ずアジェンダをチェックし、何が議論されるのか予め頭に入れておきます。

私は議事録フォーマットにメモを取るのではなく、メモ帳に議事録を作成して後で整理しながらフォーマットに転記していくスタイルを取っています。なのでアジェンダをメモ帳に転記しておき、各項目の間を数行開けてそこにメモを取れるよう会議前に準備しています。この方法を採用すると項目ごとにメモをとることができ、トピックごとにまとめられるためオススメです。

メモ帳にアジェンダを転記(私が採用している方法)、議事録フォーマットにアジェンダを転記、アジェンダファイルをコピーして直接メモ等いろんな選択肢がありますが、このあたりはそれぞれお好みの方法を採用されたら良いかと思います。

議論についていくことを優先する

議事録作成に関して、メモを取るのに必死で議論についていくことができない、という悩みを時々聞きます。耳から入ってきた内容すべてを網羅的に書こうと思うと、思考停止で機械的に処理(タイピング)していった方が効率的です。ただ、考えてみてください。文字起こしマシーンのような記録をして、バリューになるでしょうか。世のアルバイト/パート求人の中には録音データから文字に起こしていく類のものがありますが、コンサルタントにそんなことが求められているでしょうか。既にご認識のことと思いますが、求められていません。一言一句文字起こしをして、言葉のヒゲ(「えーっと」や「あのー」等)だけを除いたような記録を、忙しい中読みたいと思う人はいないはずです。

業界には時々「一言も発言しないなら会議に出るな」と言う人がいます。私は一定の役割を果たしているのであればそんなことは思いませんが、「会議に参加する」姿勢は常に持っておく必要があると考えています。ここで言いたいのは、たとえ実際に発言まではしなくとも、発言できる水準の理解度で議論についていき、議事録を作成すべきだということです。

じゃあそのためにはどうすれば良いの?というのは後述しますので是非このまま読み進めてください!

議論を抽象化して理解する

会議においては個別具体的な内容の議論が頻繁に繰り広げられます。知識や経験が乏しく、使われる言葉の定義もあいまいな状態だとかなりつらいですよね。あくまで私見ですが、理解できない内容に対してその場で必死に食らいついてメモをとりにいくよりも、大まかな議論の方向性を理解する方が生産的だと思っています。

分からない部分や用語は後で聞くなり調べるなりすることとし、議論されている内容に関して会議参加者がAGREEなのかDISAGREEなのか、ISSUEは何なのか、というざっくりしたところを理解するようにしましょう。そうすれば少なくとも要点を押さえた議事録を作成することができます。

具体化や抽象化に関する方法論的な部分は当記事では割愛しますが、以下にオススメの書籍を紹介しておきますので、苦手に感じている方は是非手に取ってみてください。

上司を上手く使う

議事録作成ロールを担うのは多くの場合業界経験の浅いスタッフで、マネジャー等にレビューしてもらうというのが通常の流れだと思います。議事録に限らず成果物というのは、レビューする上司の好みの見せ方/書き方になるものです。議事録一つ取っても、要点だけ書いてくれれば良いよという人と、事細かに書いてねという人がいます。

詳細は把握できなかったが要点だけは押さえているというケースにおいては、要点含めざっくり書いてみて、どの程度詳細を記載すべきかをレビュアーとなる上司に聞いてしまいましょう。「詳細も書いて」と言われた場合、その詳細部分について自分なりに理解できた(と思っている)事項を述べ、その理解が合っているかどうかについて確認します。次にその内容を踏まえた自身の推測をアウトプットし、その内容に齟齬が無いかを確認します。上記質問を通して誤っている箇所があれば、よほど意地悪な上司でない限り訂正してくれます。「ちょっとPC貸して」と言って加筆してくれる人もいます。一人で延々と悩んでレビューに回すのが遅れたり、何も言及せずにレビューに回して赤ペンだらけで返されるより、上司からの印象も良いですし、何よりも自身の理解や生産性の向上にも繋がります。

会話でのアウトプットが苦手だという方は、要点+詳細(自身の理解と推察)まで文字に落としてしまい、この部分の認識は合っていますかという聞き方をしても良いと思います。

単語や文章を補う

「議論についていくことを優先する」のパートでも触れましたが、発言内容をそのまま書く=議事録を書く、ではありません。読み手が読んで分かりづらいところは適宜補足を入れます。私は、議事録作成においては主語等をしつこく書いた方が良いと思っています。話の流れ的に分かるだろうというのは「NG」です。議事録は、読み手に推測させる余地を与えてはいけません。誰が読んでも同じ意味に捉えられるように書く必要があります。

In Terms of ~ を使う

「単語や文章を補う」の中で書くことも考えましたが、個人的に良いTIPSかなと思っているので独立した1パートとしました。「In Terms of ~ を使う」ってなんだ!英語で書くのか?というご質問をいただきそうですが、そうではありません。「In Terms of ~」は「~に関して」という意味の英語のフレーズで、「In Terms of ~」の他に「As for ~」や「Regarding ~」等が同じ意味で使用されます。

私が海外院生だった頃、授業の中でプレゼンをする/聞く機会が多くありました。私の専攻はビジネス専攻でもなかったので、留学生よりも現地学生の方が多かったのですが、彼らのプレゼンを聞いていて便利だなと思ったフレーズの一つが「In Terms of ~」でした。

いきなり話し始めると何の話をしているのか一瞬分からないのですが、「~に関して」というフレーズを文頭に添えるだけでとても分かりやすいプレゼンになるのです。これはプレゼンだけでなく、読ませる文章を書く時にも言えることで、「これから○○について書くよ」ということを読者に伝えるパワフルフレーズなのです。

レビュー前に音読する

読み返して誤字脱字がない状態で提出する、というのは入社直後から上司にこっぴどく言われて染みついているという方が多いと思います。しかし議事録作成においては、誤字脱字がないだけでは不十分です。議事録は視覚に訴えるオブジェクト等がないため、頭にすんなり入ってくる文章構成でないと読み続けるのが苦痛となります。

上記を踏まえ私が実践していることは、議事録を書いたら必ずプリントアウトしてブツブツ声に出して読むということです。声に出して読んでいて詰まる部分というのは、他の人も詰まってしまう可能性が高い部分です。この方法によって、文章の通りが悪い部分を検出することができるのです。

詰まる箇所を見つけたら修正をし、その上でレビューに回します。そうするとレビュアーに「なんか分からないけど読みづらい」、「ストレスフルだ」という印象を与えることなくコメントや修正をしてもらうことができます。こいつの文章変だな、と思われた瞬間にリスクアンテナが立ち、スイッチが入って猛烈にコメント等を入れてしまう人がFAS/コンサル業界においては多いと認識しています。ですので、レビュアーにストレスなく読んでもらうというのは、修正箇所を減らして気持ち良く仕事をする上でも重要なのです。

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まとめ

いかがでしたか?議事録作成方法に関してそんなにたくさんのコツがあるだろうか?と思いながら書き始めたのですが、頭の中を整理してみると意外と多く出てきました。議事録作成の方法論等をまとめた書籍があるのかどうか私は知りませんが、そういった書籍の購入は不要です。当記事でご紹介した内容を押さえ、実践していくだけで良い議事録が書けるようになります。

長時間かけて作成した議事録をレビュアーに「何書いてるか分からないし読む気にならない」と言われて涙目になっていたスタッフがいたのですが、上記を伝えて軽く修正例を示すだけで議事録が劇的に読みやすくなった、ということもありました。

コンサル/FAS業界に来られる方は優秀です。ちょっとしたコツをインプットし、実践に移すことができれば必ず良い議事録が書けるようになります。当記事の内容を活用して是非上司を感心させてみてください!

以上です!

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