FAS/コンサル志望者必見:アドバイザリー(FAS)業務とコンサルティング業務の違いは?

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記事タイトルのとおり、M&Aアドバイザリーファーム(FAS)における業務とコンサルティングファームにおける業務の違いについて質問をいただきました。これ、端的に回答するのは難しいと言いますか、目線を合わせた上で回答しないと余計混乱を招くかもしれないと思い、記事にしてみることにしました。

まず、FAS業務はアドバイザリー業務に内包されます。厳密に言えば、FASのサービスラインの中にはコンサルティング業務寄りのものもあります。それについては後ほど触れることとして、まずは「アドバイザリー」と「コンサルティング」の違いについて書いてみたいと思います。

が、本題に入る前に1つ余談です。BIG4系のアドバイザリーファームにEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC)という会社があります。EYSCは、この名前になる以前はEYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社(EYAC)という名称でした。監査法人(EY新日本)のアドバイザリー部門が、当時EYグループの中でコンサルティングを担っていたEYアドバイザリー株式会社と一緒になるタイミングで、EYACとなったそうです。その社名に「アドバイザリー」と「コンサルティング」の文字が含まれているのを見た時は同じ言葉を並べているように当時の私の眼には映ったのですが、今になって思うと両者には違いがあり、社名をつけた人はその違いを明確にイメージして付けたのではないかと推察します。

アドバイザリーとコンサルティングの違い

定義

さて、本題に入りましょう。まずは「定義」からと思って初期的に調べてみたのですが、イメージに合致する説明に辿りつけませんでした。というわけで、あまり期待もせずに「ChatGPT」先生に聞いてみることにしました。

ChatGPT
ChatGPT

アドバイザリーとは、専門的な知識や経験に基づいて、クライアントに対して助言や提案を行うサービスです。アドバイザーは、クライアントが直面している問題や意思決定に対する専門的な意見や情報を提供し、クライアントが自らの判断で行動できるようにサポートします。アドバイザリーサービスは、実行の支援を行わず、主に助言の提供に焦点を当てます。

ChatGPT
ChatGPT

コンサルティングとは、特定の問題や課題に対して専門的な知識や技術を提供し、解決策を提案し、その実行を支援するプロフェッショナルサービスです。コンサルタントは、クライアントの業務やプロジェクトに関与し、問題の分析から解決策の実施までを含む包括的なサポートを提供します。

これらを読んで、私自身は比較的分かりやすく解説してくれたのではないかと思いました。特段補足することもないのですが、それだと「ChatGPTが書いた文章」で終わってしまうので、自身の頭の整理も兼ねて自分の文章で書いてみます。

ChatGPTによる定義解説にもありますが、アドバイザリーはクライアントの特定かつ明確なニーズに対し、専門的な知見をもって対応する業務です。それゆえに契約書の形式も基本的にはサービスごとにある程度定型化されているように思います。

一方、コンサルティングは、そもそも課題が何なのか?というところから入って分析をし、最適なソリューションを提案、必要とあらば実行支援までを担う業務となっています。ベンダーとの付き合いの中でソリューションありきな案件もありますが、その場合は実行支援という形で入り、クライアントと一緒に汗を流して伴走します。

「何もない土地」に見るアドバイザリーとコンサルティング

両者の違いについて、何かに例えることによってより分かりやすくならないものかといろいろ考えているのですが、なかなか良い例えが浮かびません。他により良い例えがあるかもしれませんが、今回は「何もない土地」を例に使って考えてみます。

何もない土地があったとします。そこに、特定の目的地に向けて線路を敷くことが決まっている。ただ、どんなルートで敷くのが良いか(一直線なのか、丘は避けていくのか等)、どんな重機を使って建設すれば良いか、速さを求めるならどんなタイプの列車を走らせるのが適切か等の疑問に対して助言をするのが「アドバイザリー業務」のイメージです。それぞれの疑問ごとに契約があり、意思決定のヒントとなる助言を提供すればそこで関与は終了です。建設プロジェクトの現場に立ち会って進捗確認したり、一緒に汗を流したりはしません。

同様に、何もない土地があった時に、特定の目的地に向かって輸送ルートを確保する話がクライアントから出ている。が、線路が良いのか、道路が良いのか、もういっそ滑走路を造って飛行機を飛ばした方が良いのか等は決められていない。そこに「そもそも輸送ルートが必要なのか?速くないとダメなのか?物量が重要なのか?」等クライアントのニーズや課題を探っていき、(例えば)鉄道が良いのでは?といった提案をするのが「コンサルティング業務」のイメージです。そして線路を敷くことが決まったら(例えば)XYZ建設の利用をソリューションとして提案し、XYZ建設の工事進捗管理を線路が完成するまでおこなう、そんなところでしょうか。

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FASにおけるコンサルティング業務

冒頭、FAS業務はアドバイザリー業務に内包されると記載をしました。一方で、FASの中にもコンサルティング寄りの業務がある、とも書きました。この点についても簡単に触れておきたいと思います。

私自身はFAS入社以来一貫してアドバイザリー業務に従事しており、FASにおけるコンサルティング業務について多くを知っているわけではありません。ですので、あくまで私「みやび」の理解では、ということで読んでもらえればと思います。

まず、FASにどんな部門があるか分からない方のためにFASの主要部門を列挙します。

  • ストラテジー
  • フィナンシャルアドバイザリー
  • バリュエーション
  • 財務デューディリジェンス
  • 事業再生
  • フォレンジック

このうち、コンサルティングに近い業務が含まれている部門が「ストラテジー」と「事業再生」になります。

「ストラテジー」はビジネスデューディリジェンス以外の業務については概ねコンサルティング業務に近しいサービスであると理解しています。ファームによって「ストラテジー」部門でどこまで手掛けているかは異なるでしょうけれど、例えばM&Aに係る戦略立案やPMI(Post Merger Integration)がコンサルティング寄りの業務として挙げられます。

「事業再生」においては、基本的にDDと計画策定が主要業務ですが、バリューアップの機能を有しているファームもあります。それだけではないと思いますが、再生計画の施策実行支援なんかはまさにコンサルティング業務に該当すると認識しています。

まとめ

同じようで実は異なるアドバイザリーとコンサルティング。両者の違いについて、理解は深まったでしょうか。私はコンサルティング→アドバイザリー(FAS)というキャリアですが、どちらがハマるかは人によって違うだろうなと思いました。私自身は専門知識や経験がダイレクトに次の案件に活かせるアドバイザリーの方が、キャリアを積み上げる感覚があって楽しいと感じます。

一方で、地頭が良く、ベースや前例がなくとも思考を構築し、その思考にもとづいて案件をドライブする感覚が好きな人にとっては、コンサルティングの方が向いているかもしれません。

プロフェッショナルファームへの転職を検討している方は、アドバイザリーとコンサルティングのどちらが良いのか、この機会にぜひ考えてみてください。

みやび
みやび

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以上です!

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