会計入門:会計学習前に知っておきたいこと!

FAS実務

以前「会計入門:何故会計は理解しづらいのか?」という記事を書きました。今回は、私自身が会計理解を深めることができたアプローチについて触れていきたいと思います!

ファイナンスとの出会い

コンサルティングファームに入社してからの会計の社内テストはほぼ満点でパスした私ですが、それでも会計に関するいろんなことがイマイチ腹落ちしていませんでした。

社内テストにパスしたという結果は、問題を解いてパターンに慣れたから得られただけのものであって、自分のモノにはなっていなかったからだと思います。

新卒入社したコンサルティングファームでは主にオペレーション改善のプロジェクトに入っていたので、業務で会計にどっぷり浸かるということはなく、転職を考えるまでは会計とは疎遠になっていました。

転職を考え始め、財務会計で強みを作っていきたいなと思い始めた時に、米国公認会計士(USCPA)の教材やバリュエーションに関する財務関連書籍等を通してファイナンスの視点で見た場合の財務諸表を知るに至りました。

このファイナンスからのアプローチを、当記事では「ファイナンスアプローチ」と呼ぶことにします。基本的には資産負債、つまり貸借対照表をベースとしたアプローチですが、一般的に定義されている資産負債アプローチに完全に沿ったものではないので、ファイナンスアプローチとしました。

ファイナンスアプローチ:BS構造

左が会計におけるBS、右がファイナンスにおけるBSです。

私はこの右の図を見た時にそれまでモヤモヤしていたものがすっと解消されました。
資産と負債の差額として解説されていて、さほど重要と感じなかった純資産が、非常に意味のあるものなのだと理解しました。

会社を設立して経営していくためには、まず資金の調達が必要です。資金調達には、株式等のエクイティでの調達と銀行からの借入等デットでの調達の2つの方法があります。

非常にざっくりした言い方をすると、BSの負債の部がデット、純資産の部がエクイティでの調達だと見ることが出来ます。要するにBSの右側を見れば、その会社がどういった形で資金調達しているのかが分かるということです。

ファイナンスアプローチ:BSとPLのリンク

PLについても触れておきたいと思います。私が会計学習を始めた時、営業利益が何者であるか?というのが分からなかったのも、会計理解が阻害されていた要因の1つでした。「営業」という言葉を見た時に、頭の中ですぐに連想されたのが「Sales」でした。

「営業利益」が「Operating Profit」なので、「営業=Sales」でないことは理解しましたが、Operatingというのが具体的に何なのかというイメージが持てずにいました。これについても、ファイナンスのレンズを通して見てみると比較的分かりやすくなると感じました。ファイナンス視点で見た時のBSとPLのリンクを見てみましょう。

事業用資産(ネット)=事業用資産-事業用負債
ネットデット=総有利子負債(グロスデット)-余剰現預金

この図から、PLの営業利益までの部分は事業用資産(ネット)と繋がっていることが分かります。つまり、その会社が展開する事業に帰属する利益は、PL上の営業利益に含まれてくるということです。

逆に直接その会社の事業に関係のない非事業用資産や遊休資産に帰属する損益は、営業外損益としてPL上に計上されてきます。その他にも、金融費用はネットデットと、当期利益はエクイティと関連していることが理解いただけると思います。

余談ですが、ファイナンスアプローチでのBSとPLのリンクは、バリュエーション(価値評価)の際にも非常に重要になってきます。評価モデル上ストック(BS項目)として考慮するのか、フロー(PL項目)として考慮するのかを考えながら組んでいかないと、ダブルカウントされてしまう等のミスに繋がります。

まとめ

ファイナンスアプローチで考えると、BSやPLの見え方が会計で見た時とはまた違ってくることがお分かりいただけたかと思います。

簡単にまとめると、BSの右側(負債・純資産)で資金を調達し、調達したキャッシュ(資産)を、材料や機械(資産)など事業に必要なものに換えていきます。そして、そのキャッシュで購入された資産を使って、営業(事業)をおこなうことによって損益が生じ、PLが構成されていくという流れになります。

非常にざっくりとした紹介となりましたが、当記事の内容を理解するだけでも、しない場合よりは遥かに会計の学習が進むはずです!当記事の内容を活用し、是非より良い会計学習ライフをお送りください。

以上です!

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