住宅ローン:金利変動リスクのヘッジ

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金利変動リスクのヘッジと変動金利借入動向

以前、変動金利は借入サイド、固定金利は貸付サイドで金利の変動リスクを負うという内容について、以下のタイトルの記事で紹介しました。

結論から書きますが、金利変動リスクを完全にヘッジするには、全期間固定金利を選択するのがベストです。

しかし近年の動向として、低金利が継続していることもあり、変動金利で借り入れをおこなう方が多いそうです。

2020年6月19日付で住宅金融支援機構より公表された「住宅ローン利用者の実態調査」によると、過去3年間における変動金利利用の割合は住宅ローン利用者全体のおよそ50~60%にのぼります。

自身の返済能力と金利の上昇リスクを十分に検討された上で変動金利を選択された方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、おそらくマイノリティでしょう。不動産仲介業者や金融機関のオススメのままに変動金利を選択された方も多いと思います。

私個人の意見としては、金利の動向が監視でき、上昇した場合のリスクヘッジができる、もしくはその場合の資金的な余裕がある方以外は、全期間固定金利にしておくのが無難だと考えています。

そうは言っても、既に変動金利での借り入れを済ませてしまってるんだけど、、、という方もいらっしゃると思います。

そんな方のために、金利上昇の仕組みを簡単に説明し、どの指標に注目しておくと良いかを以下にご説明します。金利上昇の兆候を察知できれば、繰上返済のスケジュールを早めたり、固定金利での借り換えを検討する等が可能となります。

以下に記載する以外にも金利上昇の要素はありますし、より先手を打ってリスクヘッジしたいという場合には、より幅広くマーケット動向の監視や情報の収集をおこなう必要がある点ご留意ください。

金利変動リスクのモニタリング

まず、金利が上昇するための最も分かりやすいトリガーは、日本の通貨である円の資金需要が高まることです。

では資金需要が高まっていることをどのように知ればよいのでしょうか?

一番簡単なのは、ドル円の水準を監視することです。ドル円相場は、米国通貨1ドルとイコールになる日本円の価値を示しています。つまり、1ドルに対する日本円の相対的な価値が分かるわけです。

例えばある日のドル円相場が、1ドル100円だったとしましょう。これは1ドルを100円で購入できるということです。

この水準が1ドル90円(100円未満)になった場合、これを円高ドル安と言いますが、1ドルを90円で買えるので、円の価値が上がったと言えます。

逆に1ドル110円(100円超)になった場合(円安ドル高)、1ドルを110円出さないと買えないわけですから、円の価値が下がったという事になります。

円の価値が下がると、輸入に必要なコストが大きくなり、輸入品の価格上昇は国内の物価にも反映されます。つまりインフレ(物価上昇)が進むので、それまで100円で買えていたものが例えば110円となり、資金の需要が高まります。

インフレが進むと、日銀はそれを抑えるべく金利を引き上げます。金利が引き上げられると、消費者は金融機関にお金を預けて高金利のメリットを享受しようと考えるため、消費行動が抑制され、結果としてインフレの進行が抑えられるのです。

消費行動が抑えられて商品需要が低下すると、企業側は物価(販売価格)を下げて売ろうするので、インフレが食い止められます。

まとめ

上記はマクロ経済的な考え方に即して解説しましたが、現実は様々なファクターがより複雑に絡み合っており、上記通りに金利が動かない可能性は十分にあります。しかし、経済の仕組みを理解し、それがたとえ単純な経済指標であっても、目を向けておいて損はないと思います。

劇的に金利上昇する兆候をキャッチできれば、先手を打って固定金利に乗り換える等、傷が浅いうちに手の打ちようがあります。

コロナショックでまだしばらく低金利が継続すると言われていますが、将来のことは誰にも分りません。

ですので、万一に備えてマーケット情報を確認しておき、施策を練っておくことが大切です。

以上です!

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